睡眠の男女差2
生理学的な指標を用いた睡眠の性差
若年期
20代の男性と女性を比べたとき、違いが見られます。
ふとんに入っている時間や実際に眠っている総睡眠時間などでは男女に性差はみられませんが、睡眠内容を比較すると、女性では男性に比べ深い眠りが多く出現しています。
ですが、深く眠る女性のほうが、睡眠内容が良好であるかとは一概には断言できません。
というのも、ポリグラフを進めていくと、男性の眠りはノンレム睡眠―レム睡眠の周期が規則的に推移し、メリハリがあり判定も容易です。
一方で、女性は深い睡眠は多いものの睡眠段階が一晩の中で変動し易く、判定しにくいです。かつ、月経周期の影響があり、一ヶ月の中でも睡眠や生体リズムが変動することを考えると、安定性という面では男性に比べ劣っています。
また、月経周期の後半で睡眠間の悪化や寝つきがわるくなることが認められ、日中の眠気が増加するといったように、月経に伴って出現する睡眠障害も明らかになっています。
中高年期
総睡眠時間や入眠潜時には大きな差は見られません。
ただし、体温リズムが女性のほうが安定しており、女性は男性に比べて睡眠効率がよく、夜間に覚醒する回数も少ない傾向にあります。
休日の昼寝の状況にも性差が見られましたが、女性は家事を行う、一方男性は課せられた仕事がなかったなど、生活様式の違いが影響していた可能性があります。
主観的な睡眠間にもとづく性差
オランダで行われた調査によると、女性のほうが男性に比べ
- 睡眠の質が不良である
- 入眠するまでの時間が長い
- 夜中に何度も覚醒する
- 睡眠薬の服用が多い
との結果が出ています。
睡眠を妨げる大きな要因は、女性の場合は心配事が多く、男性の場合は夜間の排尿です。特に中高年期で多くなります。
ただし、睡眠には夫婦間の影響が大きく、夫の寝つきが悪いと妻の寝つきも悪くなりますし、その逆も認められています。